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- 駒沢公園の家
- 世田谷区駒沢
- house
- small scale
築約30年の木造家屋の増改築である。木造家屋が密集する環境を「木造の軸組の集まり」ととらえてみる。すると一気に、木造密集地は、簡単に編集できる風景に見えてきた。今の時代にあった用途や家族構成によって、梁や柱を抜いたり足したりして、建物を更新していくことが、木造の軸組ではできる。私たちは、敷地や、既存建物にしばられずに、自由に軸組を更新していくことで、古い木造家屋の抱える問題を解決しながら、まっさらな風景をつくるのではなく、時を経た建物や景色を少しずつ更新していくことを考えた。
敷地は旗竿形状で、まわりを同じような家屋に囲まれている。今は畑であるお隣も、近い将来新しい家が建つだろう。そうなるとここは、日当りも風通しも悪い場所になると感じた。
私たちは、3つの小さな家屋を建てることを考えた。ひとつは増築で、残りは既存家屋を2つに分割したものである。家屋を小さくし、分けることで、増築による周辺への圧迫感が減り、3つの家屋は各々外部に囲まれ、いろいろな方向からの採光や通風に恵まれる。一方で、3つの家屋はガラスでつながれ、外観からは想像できない、大きなひとつながりの空間となっている。
この「木造の軸組の更新」が、都市部の一般的な住宅密集地を、新しい風景に変えていくきっかけになればと思っている。
SD2011
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素住 2012年4月号
新建築住宅特集 2012年10月号 第28回新建築賞ノミネート
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Lotus