メイン コンテンツにスキップ

w o r k s . .

4
salon S
東京都渋谷区
interior/furniture
small scale

表参道にあるサロンの内装計画である。約16㎡、天井高2.3mの小さなオフィスとして使われていたマンションの1室に、最大5人の客と3人のスタッフが、同時に滞在することになる。サロンでは、カラーやパーマをすると4時間くらい同じ場所に座ることがある。私たちは、この小さな部屋の中で、客にいかにゆったりと数時間を過ごしてもらえるか、ということを考えた。 

そこで、内装には大きく手を加えず、壁面に対して大きな鏡を、客一人一人に与えることにした。目の前に大きな鏡像を出現させれば、広い視界が自分だけの世界のように感じられるのでは、と考えたからだ。 

一方で、部屋全体を鏡で埋め、外の風景を鏡に取込み、広く感じさせようとも思っていた。しかし、沢山の鏡は、自分の鏡の中に他の人の鏡像が入り込んでしまい、自分だけの世界を広げる鏡の良さを消してしまう。そこで、3枚のカットスペースのための鏡と、2枚のゆるやかに歪んだ鏡を設置した。 

熱処理によって歪んだ鏡は、歪んだ映像を映し出し、視線の見合いを解決し、鏡の中のそれぞれのスペースをあいまいに分ける。歪んだ映像は不思議なもので、とても動的な印象を空間に与えることができる。静かな執務のためだった空間を、伸びやかなサロンの空間へと変える事ができたと感じている。 

今回の計画に限らず、特別なスペースをつくりつつ、大きな空間を共有することに魅力を感じている。それぞれのスペースをつくりながら、全体もみんなのために良くなる、ということ。そういった、都市の中で考えていたことを、小さなサロンの中でも考えた。 

 

PREPPY 2012年7月号掲載

新建築 2018年5月号掲載