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光のあみの家
東京都世田谷区
house
small scale

新しいものがあるから古いものが魅力的に見える関係性がある。それは対立でも統一でもない、差異を受け入れつつ個々が生き生きとし、全体として系をなす状態である。
築約50年の木造住宅の改修である。140㎡の住まいを、3人家族で住むためのリノベーションが求められた。既存建物は910グリッドの在来工法の木造住宅で、小さなたくさんの部屋に分けられており、空気が分断されていると感じた。庭と建物の境界にあったパーテーションや雨戸も、街や庭と部屋を分離しているように思われた。
 家全体に光と熱と風を留めたり流したりする事を考え、南北に抜ける大きなリビングと上部に空気の塊を配置した。その空気の塊からの光や熱を調整するために、リビングと空気の塊の水平の境界にグレーのドットを施したアクリル板を挿入した。同様に外部と内部の媒体として、アルミエキスパンドメタルの庇を南側の庭に設置した。庇は自然光を反射し空気の塊を一層明るくし、逆に1階に直接入る光を粒状に変えて抑える。
 エキスパンドメタルの庇は既存のファサードも一変させた。庇が加わることによって、複数の要素が混在していた立面が統合されたように感じられたのだ。今回新たに加えたものと既存住宅とは異なるリズムでありながら、ひとつの統合されたポリリズムとして成り立っている。ポリリズムとしての住宅が、様々なものが混在する街のポリリズムにも参加することを目指した。

住宅特集 2022年4月号

辰巳琢郎の家物語 リモデル☆きらり

TOTO通信 2024年夏号 光のディテール