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ギャラリーF
東京都渋谷区
interior/furniture
small scale

表参道駅の近くに計画されたプライベートギャラリー。 

ギャラリーの入るビルは、路地の行き止まりに位置し、青山通りの雰囲気をもつ商業ビルと、緑豊かな住宅地の境界にある。この表参道や青山付近のいわゆる特別な場所性のみを強く感じ、日常生活の空間が連続していることが、このビルを訪れる体験では分かりにくい、と感じた。また、絵画などアート作品は、私たちの身近な物に近づいたが、日常生活でそれを実感する人はまだ少ないのではないかと思う。 

「アート」を日常の物にするには、ニュートラルすぎる「ギャラリー」ではなく、ギャラリーを日常の生活の一部になるような空間にできれば良いのではないか、と考えた。 

私たちは、いわゆる店舗のような、ディスプレイやのれん通りがつくる行き止まりのファサードではなく、路地のアプローチをすりぬけて、建物をすり抜けていけるような感覚をファサードに持たせることを考えた。向こう側を感じさせる外観をもつギャラリーである。道の行き止まりの目的地ではなく、路地の延長にあるという感覚になる工夫である。 

また、このギャラリーまですり抜けた感覚を、そのまま、ビルの向こう側の住宅地のもつ日常性へとつなげることも考えた。 

展示や使い方によっては自然採光、自然通風も可能な、開口のつくり方が重要と考えた。 

ドアを変えたり、壁の明るさを変えたり、風を通したり、1つ1つのデザインはとても些細だが、これらの小さな積み重ねにより、ギャラリーやアートを日常に引き寄せ、日常の枠組みを拡げることができるのではないか、と考えた。 

この空間的な調整が、アートを日常へ連れ出すというギャラリーの体験、つまり時間的な調整を、うまく調停してくれることを望んだ。